みなさん、線維筋痛症(せんいきんつうしょう)という病気をご存知ですか?
日本におよそ200万人以上の患者数がいるとされている線維筋痛症という病。
この『線維筋痛症』という病気は、患者数の割に世間の認知度がまだまだ低いのが実状です。
また、外見からは病気ということがわからないため周囲の人からは理解がされにくく、孤独を感じ辛く悲しい思いをしながら生活している患者さんが多く存在しています。
最近では若年層にも増えつつある病ですが、男性よりも女性の方が患者数が多く、年齢層は30代以降の働き盛りの世代が多いというこの病。
いつ何時、この病にかかるかもしれない世代の私たち。気づかないだけで身近な人もこの病に苦しんでいるかもしれません。
そこで、今回はこの『線維筋痛症』という病について詳しくご説明したいと思います。
『 線維筋痛症 』とはどんな病気?
はじめてこの病名を聞いたかた、漢字を見たかたは、筋肉が痛くなる病気?と思われるかもしれませんが・・・
どんな病気なのでしょうか?
線維筋痛症とは・・・
全身に慢性的な激しい疼痛(痛み)が起こる病気です
線維筋痛症の症状
全身の広い範囲に激しい痛みがおこるのが特徴で、こわばりも生じます。
そのほかに気分が落ち込む(抑うつ)症状や、しびれ、疲労感、倦怠感、不安感、睡眠障害、頭痛や微熱、過敏性腸炎、集中力の欠如、記憶障害などなど…
個人差はありますが、たくさんの自覚症状を伴います。
関節リュウマチによく似た関節痛などの痛みを訴える人もいます。
痛みのある部位は同じ場所が痛いのではなく、全身を移動します。痛みの感じかたは人それぞれです。
『全身に電流が流れるようなビリビリした痛み』
『ガラスの破片が全身を流れるようなザクザクした痛み』
『骨がさかれるような痛み』
『剣山の上を歩いているような足の裏の痛み』 などなど・・・
その表現のどれをとって見ても、耐え難い強い痛みであるということがおわかりいただけるかと思います。
痛みの強度も人それぞれ違い、なかには冷たいものをさわる、水をさわる、外気に触れ風を感じる、ブラシで髪をとかす、爪を切る、寝返りをうつなど、日常のほんの少しの動作や自分の体重でさえもそれが刺激となり、痛みが増強する場合もあります。
眩しい光、騒音などもときには痛みの原因となることがあります。
痛みの感じ方や疲労感などは、他人がそばで見ても共感したり理解することが難しいため、まわりの人や身近な家族でさえも『怠けている』『大げさに言っているだけ』『気のせい』と受け止められてしまったり、『詐病』だという医師もいたりします。
この記事を書いている私も実はこの病気の患者なのですが、私も医師に『そもそもそんな病気は存在しない。』と言われましたし、何人もの医師に相手にしてもらえないこともありました。
ひどいときには『そんなに診て欲しいなら診察するけど、うちでは治療はしないからね。それでもいいなら診ようか?』と嫌味を言われたこともあります。
患者は男性より女性の方が非常に多く、働き盛りと言われる30代以降の中高年層に多くみられるそうです。
最近は若年層でも増えてきているようです。
日本では、人口の約1.7%にみられ、およそ200万人以上の患者数がいるとされています。
200万人という患者数の多さが原因なのかはわかりませんが、現在この病気は難病指定をされていません。
線維筋痛症の原因は?
原因はまだ不明です。
まだハッキリとした理由はわかっていませんが、脳が痛みの信号を感じとる機能に何らかの異常が起こっているのではないかと考えられています。
心理的・社会的なストレス、また離婚や、リストラ、大切な人との別離などの大きな出来事、事故や手術などの外傷がきっかけとなって発症することが多いのではと考えられています。
頑張りすぎてしまう人が、この病気になりやすいのでは?とも言われています。
線維筋痛症の診断法は?
一般的な血液検査や、レントゲンやCT・MRIなどの画像検査などでは異常がみつかりません。
1990年に発表されたアメリカリュウマチ学会の診断基準を参考に診断されることが多いようです。その内容は
- 体の広範囲に原因不明の激しい痛みが3ヶ月以上持続していること
- あらかじめ決められている体の部位(18ヶ所の圧痛点)を指で押し11ヶ所以上で痛みがあること
日本では医師による認知度もまだ低いのか、正しい診断をしてくれる医師がまだまだ少ないです。
そのため誤診されたり、適正に治療を受けられる患者が少ないので、病院を転々とするドクターショッピングを繰り返す人も多くいます。
線維筋痛症の治療法について
薬物治療・運動療法・心理療法・代替療法などがありますが・・・
この病気の原因がまだハッキリとわかっていないため、すべての患者さんに共通する治療方法はありません。
薬物療法については、リリカやサインバルタ・トラムセット・ノイロトロピンが処方されることが多いです。
リリカはもともと『てんかん』の治療薬ですが、神経障害性の痛みに有効だということが分かり、使用されるようになりました。
リリカ・サインバルタ・トラムセットは人によっては副作用が強く現れますので、飲みはじめの頃は注意が必要です。どの疾患にも言えることですが、自分の判断で服用をやめたり増量したりせず、必ず医師に相談するようにしてください。
気分の落ち込みなどのうつ症状を訴える患者さんもいるため、その場合は抗うつ薬や精神安定薬を処方される場合があります。漢方薬を併用することもあります。
運動療法については、ウォーキングや水泳・ヨガなどの有酸素運動がよいとされています。
適度な運動をすることにより、血行が改善し痛みが緩和されると言われています。
また、筋肉の強化をはかることで悪化も防ぐと言われています。
しかし、激しい運動をしすぎてしまうと、反動で痛みが増強することもあるので無理せず少しずつ行うようにしてください。
ウォーキングに出かけるのが難しいかたは、スクワットや椅子に座って軽くもも上げをするのが良いのではないでしょうか。太ももの筋力が低下すると、寝たきりや転倒しやすくなりますのでその予防をすることも重要です。
痛みやこわばりが強すぎると運動もできないので、まずは薬物治療で痛みを緩和し、無理せずに行えるストレッチからはじめるのがいいと思います。
寒いと痛みが強く感じるので、冬は身体を冷やさないことがとても大切です。
温水プールや入浴、熱いお湯で湿らせたタオルをあてるなどし、痛みのあるところを温め、痛みを緩和するのも良いかと思います。
線維筋痛症かも?何科に受診すればいい?
体の広範囲に原因不明の激しい痛みが3ヶ月以上持続している場合は、一度病院を受診してみてください。
どの病院、何科を受診すればいいのかわからないと思いますので、線維筋痛症学会のホームページに『診療ネットワーク参加医療機関マップ』が掲載されていますので、そちらで最寄りの病院を調べてみてください。
この病気は診断が早ければ完治することも可能なようですので、できるだけ早く医師による診断がされることが望ましいです。
私の場合は、診断までに数ヶ月かかりました。1年以上診断されず病院をあちこち転々とされるかたもいるようです。
医療マップをご紹介しておきながら申し訳ないのですが、私は現在こちらに掲載されている病院では治療しておりません。
診断はこちらに掲載されている病院でしていただきましたが、専門の病院でもいろいろと事情があり病院を転々としました。現在は、地元の大学病院の麻酔科で治療をしております。
最後に、歌手のレディー・ガガさんも線維筋痛症です
最近では、歌手のレディー・ガガさんがこの病気と公表されたため多くのかたに知っていただけるようになりました。しかし、まだまだ認知度が低い病気のため、一人でも多くの方にこの病気を知っていただけたらなという思いで今回この記事を書きました。この記事を読み、お友達や家族にも知らせたい!ともし思っていただけましたら、ぜひSNSなどにシェアしてみてください。
この病気の疑いがあり現在苦しんでいるかた、この病気と闘っている患者さん、患者のご家族などで、もし私にお聞きになりたいことがございましたら、コメントまたはメールにてご連絡くださいませ。すぐにご返答はできないかもしれませんが、順次ご返信させていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。