夏の京都といえば『祇園祭』が有名です。京都三大祭のひとつともいわれる祇園祭とはどういったお祭りなのか、またおすすめの見所についてもご紹介したいと思います。
祇園祭とは?
京都の夏の行事といえば、祇園祭が有名です。祇園祭は、大阪の天神祭、江戸の天下祭(神田祭・山王祭)と並んで日本の三大祭のひとつともいわれています。また、岐阜の高山祭、埼玉の秩父夜祭とともに日本三大曳山祭りのひとつでもあります。
約千年の歴史があり、平安時代に疫病退散を願った御霊会(ごりょうえ)がはじまりといわれています。祇園祭は八坂神社の御祭礼で、7月1日から31日まで、1ヶ月間に渡り行われます。その中でも、7月14日~16日の前祭の宵々々山・宵々山・宵山、7月17日の前祭山鉾巡行などが有名で人出も集中します。

祇園祭の期間中は、山鉾を持つ『鉾町(ほこちょう)』と呼ばれる町がある四条近辺では豪華な鉾が組み立てられ、お祭りムードとなります。
山鉾巡行は、7月17日の前祭(さきのまつり)と7月24日の後祭(あとのまつり)の2つに分けられています。この2つは1966年に合同化され、巡行は7月17日のみとなっていましたが、2014年に7月24日の後祭(あとのまつり)が復活しました。
後祭(あとのまつり)は、7月21日~23日が宵山行事、7月24日が山鉾巡行の日となっています。
祇園祭 山鉾について
山鉾は全部で33基あり、釘を一切使わない独特な手法で組み立てられています。現存する33基の山鉾のうち29基が、国の重要有形民俗文化財に指定され、17日に行われる山鉾巡行は重要無形民俗文化財に指定され、2009年9月30日にはユネスコより無形文化遺産に登録されています。

山鉾は、中国やインド、ペルシャなどからシルクロードを経て持ち込まれたタペストリーや、京都の金襴の西陣織などの懸装品、左甚五郎作などの優れた彫刻や欄縁金具などの工芸装飾品で豪華絢爛に飾られるようになり『動く美術館 』と称されています。
巡行する鉾のうち最も大きなのものは12トン、高さ12mにもおよび、組立から巡行、解体に至るまでに延べ180人もの人手を要するといわれています。
祇園祭 見所① 7月14日~16日
7月14日は宵々々山、7月15日は宵々山、7月16日は宵山といわれています。
この7月14日から16日までの宵山(よいやま)の期間は観光客数がとても多く、夕方から烏丸通・四条通などが交通規制がされ歩行者天国になります。毎年この期間は数十万人~100万人以上もの人が訪れ、四条烏丸交差点や四条室町交差点付近は身動きがとれないほど混雑する、そんな年もあります。

この期間は、各鉾町に提灯がともり、祇園囃子(ぎおんばやし)のコンチキチンが奏でられ、縁起物の粽(ちまき)を売る子どもたちの声があちこちに響き大変にぎわいます。夜店や屋台も出店され、京都の夜の街がお祭りムード一色に染まります。
※夜店や屋台、歩行者天国については7月14日の宵々々山では実施されていない年もありますので、事前にお調べいただいてからお出かけください。

鉾にも上れ、各山鉾で粽やお守りなどが購入できます
鉾によっては一般の人でも鉾に上ることができるものもあり、豪華な装飾やお囃子を間近で見物することができます。
上るための条件は山や鉾によって違います。
- 長刀鉾:粽 1,000円を購入(売り切れの際はオリジナルグッズを購入)女人禁制ですので女性は2階まで。
- 月鉾:オリジナルグッズを購入。
- 菊水鉾:拝観券付きの粽 1,000円を購入。
- 函谷鉾:拝観券 1,000円を購入。
- 鶏鉾:拝観券付きのオリジナルグッズ、または拝観券 500円を購入。
- 放下鉾:拝観券付きの粽 1,000円を購入。女人禁制ですので女性は2階まで。
- 船鉾:拝観券 300円を購入。
- 岩戸山:拝観券付きの粽700円、または拝観券300円を購入。
また、各山鉾では、それぞれの由緒にちなんだお守りや授与品が販売されており、聖徳太子をまつる『太子山』では知恵守、牛若丸を御神体とする『橋弁慶山』では心身の剛健を願う弁慶の力縄などが有名です。
子どもに人気!蟷螂山のおみくじ
お子さんに人気なのは『蟷螂山(とうろうやま)』のかまきりのカラクリ仕掛けのおみくじです。一回200円。こちらは2007年に制作され、2012年には4500人もの人がこのおみくじを引いたそうです。おみくじの他に、てぬぐいやTシャツも販売されています。
詳しい山鉾の位置は、祇園祭で配布されているうちわやマップを確認していただくか、こちらの京都新聞社の特別ページを参考にしてください。
また、iosに対応した『祇園祭ナビ』というこちらのアプリもおすすめです!山鉾の位置と地図を重ねて見ることができ、自分のいる場所から目的の山鉾までの道順を案内してくれるという優れもの。無料で使用できます。
祇園祭 見所② 山鉾巡行(前祭)
前祭の山鉾巡行は7月17日、23基の山鉾が巡行します。大きな山鉾が京都の街を巡行するため大勢の人が見物に訪れます。
前祭の山鉾巡行の出発地点は四条烏丸で朝9時にスタートします。お稚児(おちご)さんが乗った長刀鉾を先頭に、33基の山鉾が順番に出発していきます。

長刀鉾が出発して10分後くらいに、麩屋町(ふやちょう)通りにさしかかる辺りで『注連縄(しめなわ)』が張られており、それをお稚児さんが切り正式に巡行が始まるというしきたりになっています。
前祭巡行の予定
9:00 四条河原町出発
9:40 四条河原町通過
10:35 河原町御池通過
11:25 新町御池到着
河原町御池、新町御池と進み正午ぐらいには終了します。そのあと13時か14時ごろより八坂神社にて、長刀鉾のお稚児さんのお位返しの儀が行われます。
見所はやはり『辻回し』です
山鉾巡行のハイライトといえば、やはり『辻回し』です。
『辻回し』とは、大きな鉾や山を交差点で90度回転させることをいいます。

鉾にはハンドルなどがないので、車のように方向転換ができません。そこで車輪の下に『ささら』とよばれる竹をスノコのように敷き詰めて水を打ち、車輪を滑らせて少しずつ方向を変えていきます。
かけ声とともに引き縄を何度か引き方向転換します。最も大きい鉾は12トンもありますので、辻回しの様子はとても迫力があり観客からは拍手喝采が起こります。
祇園祭 辻回しの場所は?
前祭の辻回しは、四条河原町交差点・河原町御池交差点・新町御池交差点で観れます。
しかし、辻回しが行われる交差点では朝から多くの人が場所取りをしています。とくに、四条河原町の交差点ではテレビカメラや新聞社などのカメラマンもここに集まっていますので大変混雑しています。
人ごみの中で観るのは大変という人は、山鉾巡行がはじまる前の四条烏丸での辻回しを観てみてはいかがでしょうか。まだ巡行が行われていなくても、すべての鉾たちがこの四条烏丸に集結してきますので、その際の辻回しを観てみるだけでも十分楽しめるかと思います。
祇園祭 後祭について
前祭の宵山の時期は、歩行者天国になったり夜店が出たりと大変にぎわっていますが、後祭の宵山では、歩行者天国も夜店も残念ながら実施されていません。
2014年に後祭が50年ぶりに復活しましたが、後祭の宵山についてはまだまだメジャーだとは言い難い、そんな感じです。
しかし、前祭のように大勢の人波に押し流されることもなく、ゆっくりと立ち止まってカメラを向けたり山鉾を好きなだけ眺めることが可能です。
また、前祭で使用した山鉾が半解体されていますので、人形や絨毯などの調度品を間近で観ることができます。
前祭とはまた違った楽しみができる後祭、今ならまだまだ観光客も少なめですので穴場かもしれませんよ。
後祭の山鉾巡行
後祭の山鉾巡行は7月24日、10基の山鉾が巡行します。
巡行コースは17日の前祭の反対で、烏丸御池を出発し、四条烏丸まで巡行します。
辻回しの場所は、河原町御池・四条河原町
後祭巡行の予定
9:30 烏丸御池出発
10:00 河原町御池通過
10:40 四条河原町通過
11:25 四条烏丸到着
前祭と比べると人が少ないといわれていますが、後祭でもこれだけの見物客がいます。
最後に
祇園祭とその見所について、おわかりいただけましたか?
最後に、祇園祭は雨天決行になります。この祇園祭の時期のどこかの日でバケツをひっくり返したような大雨が降り、京都の梅雨が明けるという年が何度がありました。天候次第では雨具が必要となりますので、事前に天気予報を確認してからお出かけください。
また、山鉾巡行のときには毎年何人もの人が熱中症で倒れて救急車で運ばれていると聞きました。場所によっては日陰がないところもありますので、帽子や扇子、飲み物は必ず持参し、暑さ対策、熱中症対策を充分行なって、無理のないよう祇園祭をお楽しみください。