子どもを授かり無事に生まれてきてくれた時には、病気やケガなどをしないで健康に育てってくれればそれでいいと多くの親は考えますよね。
しかし、高学歴化が進んでいる日本では、大学や大学院などに進学している子どもが多いのが実状です。子供の将来のことを考えると早めに教育資金を準備しておきたいところです。でも、教育費っていくら必要で、準備をするためにはどうすればいいの?と疑問に思う方も多いのではないのでしょうか?
そこで、今回は『子どもの教育費』についてご説明したいと思います。
教育費はいくら必要なの? 幼稚園から高校まで
幼稚園から大学までの学費は私立や公立、学部などによって異なりますが、大学まで進学する場合に必要になる教育費は、一般的には約1,000万円といわれています。
1,000万円と聞くと、ものすごい大金ですよね。それに子どもが2人いる場合は単純に計算しても約2,000万円ものお金が必要です。
本当にそんな大金が必要なのでしょうか?
厚生労働省が『子供の学習調査』というものを行っており、ホームページにその調査結果が載っていました。最新の調査結果(平成28年度)に基づき幼稚園から高校卒業までの教育費についてまとめてみましたので参考にしてみてください。
この教育費(学習費)は、幼稚園や学校での授業料だけでなく、給食費や学校外活動費(塾や習い事の費用)の平均金額も含まれています。
子どもの教育費 幼稚園
公立幼稚園
- 4歳:210,073円
- 5歳:212,400円
- 6歳:259,644円
合計金額:682,117円
私立幼稚園
- 4歳:479,775円
- 5歳:438,832円
- 6歳:526,778円
合計金額:1,445,385円
公立、私立ともに6歳児になると金額が高くなっていますね。この調査は塾や習い事の費用も含まれていますので、これくらいの年齢になるとスイミングやピアノ、サッカーなどの習い事や、小学校へあがるための学習を考え、塾や通信添削や学習教室に通わす親御さんが多くなるのかもしれません。
子どもの教育費 保育園
厚生労働省の『子供の学習調査』には、残念ながら調査結果が載っていませんでした。保育費は都道府県や市区町村、収入によって金額がまちまちです。だいたい月30,000円~40,000円が保育費の平均といわれていますので、今回はその平均金額の30,000円と、厚生労働省の調査の中の学校給食費(幼稚園の平均金額)・学校外活動費(それぞれの年齢別)をプラスした金額で計算したいと思います。ただ、厚生労働省の調査では4歳児からの金額しか載っていませんでしたので、0歳児から保育園へ預ける方向けの参考にはなりませんのでご了承ください。
保育園
- 4歳:449,899円
- 5歳:457,413円
- 6歳:498,114円
合計金額:1,405,426円
子どもの教育費 小学校
公立小学校
- 1年生:342,640円
- 2年生:270,917円
- 3年生:289,272円
- 4年生:310,908円
- 5年生:345,078円
- 6年生:375,358円
合計金額:1,934,173円
5年生、6年生ごろになると、中学に向けて塾へ行く子が増えてくるのでしょうか。塾や家庭教師を利用する『補助学習費』の平均金額は年間約13万円でした。
私立小学校
- 1年生:1,842,650円
- 2年生:1,275,934円
- 3年生:1,365,914円
- 4年生:1,464,090円
- 5年生:1,557,348円
- 6年生:1,658,692円
合計金額:9,164,628円
私立学校に通う子どものうち、塾や家庭教師を利用する『補助学習費』の平均金額は、5年生では年間約40万円、6年生では年間約50万円以上となっていて驚きました。私立学校に通う子どものうち『補助学習費』の金額が最も高額だったのは、この5.6年生の時期でした。
子どもの教育費 中学校
公立中学校
- 1年生:469,153円
- 2年生:392,774円
- 3年生:571,163円
合計金額:1,433,090円
公立の学校に通う子どものうち、塾や家庭教師を利用する『補助学習費』の平均金額が最も高かったのは、中学3年生の時期でした。平均金額は年間約37万円となっていました。やはり、高校受験のために塾や家庭教師を利用する子ども達が増えるからでしょうね。
私立中学校
- 1年生:1,572,110円
- 2年生:1,156,873円
- 3年生:1,250,538円
合計金額:3,979,521円
私立の学校に通う中学3年生の『補助学習費』の平均金額は年間約22万円でした。公立中学に通う子ども達より金額は少ないですね。
子どもの教育費 高等学校(全日制)
高等学校の調査結果は、学校給食費が含まれていませんでした。高校生になるとお弁当を持参するか、学食を利用する子がほとんどかと思います。また、この年頃になると食べ盛りにもなりますので、昼食費や捕食費はかなりの金額になるのではないでしょうか。下記の金額は、その昼食費や捕食費は含まれていませんので、そのあたりを踏まえたうえで参考にしてください。
公立高校
- 1年生:516,662円
- 2年生:471,549円
- 3年生:363,125円
合計金額:1,351,336円
私立高校
- 1年生:1,275,991円
- 2年生:976,188円
- 3年生:857,626円
合計金額:3,109,805円
大学の学費についても調べてみました
厚生労働省の調査では、幼稚園から高等学校までの調査しか載っていませんでしたので、大学生の教育費については、大学の学費のみ(入学金等を含む)で考えました。昼食費や通学費、サークル活動費、就活にかかる費用、受験料や検定料などは含まれていませんので別途必要となります。また、同じ文系・理系でも大学や学部によって学費や入学金の額は違いますですので、あくまでも参考程度ということでお考えください。
子どもの教育費 大学生
某国公立大学の場合
- 1回生:817,800円
- 2回生:535,800円
- 3回生:535,800円
- 4回生:535,800円
合計金額:2,425,200円
某国公立大学の場合、理系も文系も学費(入学金を含む)は同じでした。
某私立大学・文系の場合
- 1回生:1,243,000円
- 2回生:1,124,200円
- 3回生:1,124,200円
- 4回生:1,124,200円
合計金額:4,615,600円
某私立大学・理系の場合
- 1回生:1,684,600円
- 2回生:1,544,600円
- 3回生:1,544,600円
- 4回生:1,544,600円
合計金額:6,318,400円
同じ理系でも薬学部や医学部は授業料がもっと高額になります。(4年制ではなく6年制です。)
幼稚園から大学卒業までトータルいくら必要?
結局、教育費の総額いくらになるの?という方のために、公立・私立、様々なケースで(保育園は除く)総額を計算してみました!
幼稚園から大学卒業までの教育費の総額
大学が国公立で、幼稚園から高校までを
- すべて公立に通った場合:7,825,916円
- 幼稚園だけ私立に通った場合:8,589,184円
- 高等学校だけ私立に通った場合:9,584,385円
- 幼稚園および高等学校が私立に通った場合:10,347,653円
- 小学校だけ公立に通った場合:12,894,084円
- すべて私立に通った場合:20,124,539円
大学が私立・文系で、幼稚園から高校までを
- すべて公立に通った場合:100,016,316円
- 幼稚園だけ私立に通った場合:10,779,584円
- 高等学校だけ私立に通った場合:11,774,785円
- 幼稚園および高等学校が私立に通った場合:12,538,053円
- 小学校だけ公立に通った場合:15,084,484円
- すべて私立に通った場合:20,124,539円
大学が私立・理系で、幼稚園から高校までを
- すべて公立に通った場合:11,719,116円
- 幼稚園だけ私立に通った場合:12,482,384円
- 高等学校だけ私立に通った場合:13,477,585円
- 幼稚園および高等学校が私立に通った場合:14,240,853円
- 小学校だけ公立に通った場合:16,787,284円
- すべて私立に通った場合:24,017,739円
一般的に、だいたい1,000万円必要といわれている教育費ですが、このように調べてみると、1,000万円という金額に最も近いケースは『幼稚園から高校までをすべて公立・私立の文系の大学に進学する』というケースでした。しかし、公立の幼稚園は数が少なく、私立の幼稚園へ通わせる親御さんが多いのではないかと思います。
これだけの教育資金をすぐに用意できる人は少ないと思いますので、子どもの将来のことを考え、生まれた時から準備をスタートしておきたいところですよね。
しかし、金額だけを見ると高額なため、これでは子どもを産み育てることができないなと思ってしまう方もいるかもしれません。でも大丈夫です!高校については、地域によりますが、所得に応じて授業料を減免や無料化しているところもあります(高校授業料無償化)
子どもの教育費どうやって準備すればいい?
1,000万や2,000万円もの金額を準備するのは普通の生活では難しいですよね...
しかし、子どもを授かった、生まれたからといって、すべての親がこの大金をすぐに準備する必要はありません。
高等学校については先ほども説明しましたが、高校授業料無償化制度を利用すれば、まず大きな心配はないかと思います。これぐらいの年代になれば食費がかさんだり、学校によっては海外へ研修旅行へ行きますので研修旅行のための積立金や、部活をやっている子どもであれば合宿費などの費用に関する悩みが増える方が多いようです。
今まで私のまわりの友人やママ友に聞いたところで、子どもの教育資金で一番困ったことといえば、やはり『大学資金』に関することが多かったです。
ですので、子どもの教育資金をどうすれば良いのかと考えた場合、まずは大学資金を準備することから始めるのが一番かと思います。
では、その大学資金はどのように準備すれば良いのでしょうか?
学資保険で準備をする
一般的によく知られているのが学資保険になります。学資保険とは『子どもの教育資金を準備するための貯蓄型保険』のことです。学資保険は満期(貯まった資金を受け取る)の時期を、加入する前に自分で設定することができます。子どもが中学校・高校・大学に入学するタイミングで、それぞれ進学準備金や満期学資金を受け取るなど、子どもの成長や家庭の状況に合わせて教育資金を準備することができます。
貯蓄だけを考えた場合、株式や投資信託といった選択肢もありますが、学資保険は払込免除により、万が一の保証も受けられます。貯蓄だけでなく、この保険として役割を備えているという点が学資保険が選ばれる理由のひとつでもあります。
単純に毎月10,000円を貯蓄していくだけでも大学へ進学するころには216万円も貯まりますが、学資保険が人気の理由は返戻率の高さにあります。銀行の定期預金の利息は0.02%~2%程度なのに対し、学資保険は高いものでは104~110%の返戻率がある商品もあります。ただし、途中で解約をしてしまったり、さまざまな特約を付けてしまうと返戻率が100%を下まわる場合もありますので注意が必要です。
児童手当で準備をする
児童手当で準備をする人も結構います。児童手当とは『子どもを育てる保護者に対して行政から支給される手当』のことです。児童手当がもらえる対象者は、日本国内に住む0歳以上から中学校卒業までの児童の保護者(養育者)になります。ただし、所得基準がありますので、所得制限限度額を超えている方は『特例給付』となり全額は支給されません。
児童手当の支給額
- 0~3歳未満:15,000円
- 3歳から小学校卒業まで:10,000円(第1子・第2子)
- 3歳から小学校卒業まで:15,000円(第3子)
- 中学生:10,000円
- 特例給付:年齢に関わらず児童1人につき5,000円
この児童手当を生活費や日々の子どものためのお金としては使用せずにすべて貯蓄した場合、一人あたり約210万円にもなります。
210万円あれば、あと約30万足せば国公立大学の4年間の教育資金にできますし、私立大学の場合でも、あと約26万円足せば2回生までの教育資金にできますね。
手元にお金が入ってくると、つい子どものオモチャや洋服を買おうかと思いがちですが、ここは子どもの将来の教育資金のためにしっかりと貯蓄することをおすすめします。
積立式定期預金で準備する
『積立式定期預金』とは…毎月決まった日に決まった金額を、普通預金から積立式定期預金へ振り替えてくれる金融機関の預金商品のことです。毎月決まった金額を自分の口座から自動的に積み立ててくれるため、確実に教育資金を貯めていくことができます。何かの都合によって途中で解約しても元本割れなどもないため、安心して利用できる教育資金の貯め方です。
私が利用している積立式定期預金は、毎月5,000円から貯蓄が可能で、月々の積立金以外にATMからの入金もできるタイプなので、余裕がある月は追加増額できるのでとても便利です。
5,000円からなら無理なく継続できる人もいるのではないでしょうか?普段お使いの金融機関でまとめて利用するのが便利かと思いますが、金融機関によっては利用方法や利息金額も違ってきますので、いろいろ比較してみて、ご自分にピッタリ合った積立式定期預金を見つけてみてください。
最後に
厚生労働省の調査をもとに細かい金額まで計算してみましたが、いかがでしたでしょうか。かわいい我が子のために教育費についてしっかりと理解し、早めの準備をしたいですよね。準備方法についても簡単にご紹介しましたが、どれも難しい方法ではないので誰でも安心して教育資金を準備することができるかと思います。学資保険については、保険会社により返戻率やサービスが異なりますので、ご家庭の所得や生活スタイルにあった商品を比較して検討してみてくださいね。